「ARCTIC Liquid Freezer II 360 Rev.4」レビュー 爆熱のRyzen 7 5800X を冷やせるか忍者五と比較
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┃はじめに
5月12日より(株)サイズより代理販売が開始され入手しやすくなったARCTICの「Liquid Freezer II 360 Rev.4」をレビューしていきます。今回のレビューを書こうと思ったのは、ちまたで爆熱と呼ばれる「Ryzen 7 5800X」を購入したのがきっかけです。この簡易水冷を購入する前はサイズの「忍者五」を使用していました。「忍者五」の冷却性能と比較しながら検証していきます。
代理店公式ページ
製品公式ページ
Liquid Freezer II 360 | Multikompatibler AiO CPU-Wasserkühler | ARCTIC
マニュアル
ARCTIC Liquid Freezer II 360 Rev 4 - User Manual
商品概要
・新型PWMポンプやマイクロフィン構造の銅製ベースを採用した水冷クーラー。ウォーターブロック内部に周辺冷却用の40mmファンを搭載、VRMの冷却も可能な仕様。フィン密度の高い38 mm厚ラジエーター、高静圧が特徴の同社Pシリーズのファンを採用。ラジエーター側にファン用デイジーチェーンケーブルを内蔵し、ケーブルマネジメントも優秀。高性能サーマルペースト「MX-4」0.8 gが付属。
スペック
ファン:P12 120mmファン×3
ファン回転数:200〜1,800 RPM
ファンノイズ:最大0.3sone
ファン風量:56.3CFM
ラジエーターサイズ:398 x 120 x 38mm
ポンプサイズ:98mm x 78mm x 53mm
重量:1687g(ファン ラジエーター ポンプ チューブ含む)
チューブ仕様:外径 12.4mm / 内径6.0mm 長さ450mm
ポンプ部VRMファン仕様:40mm 1000~3000RPM(PWMコントロール)
ポンプ回転数:800~2000RPM(PWMコントール)
Intel対応ソケット:1151/1150/1155/1156/1200/2011(V3)/2066*Square ILM
AMD対応ソケット:AM4
MX-4サーマルペースト(0.8g入り)付属
・製品保証2年
Liquid Freezer II 360 Rev.4の梱包・付属品
簡素な梱包で特筆すべき事は少ないですが、個人的に嬉しかったのは公式の写真では「MX-4」0.8 gが小袋に入っていたので一度開封すると残りのグリスの管理が難しいと思っていましたが、今回サイズ代理店販売の商品はプラ製注射器型容器に入っていました。
┃ARCTIC Liquid Freezer II 360 Rev.4の取付
構成
CPU:Ryzen 7 5800X
M/B:ASUS TUF B450-PRO GAMING
メモリ:Crucial CT2K16G4DFD8266 32GB (16GBx2) DDR4-2666 PC4-21300
VGA: ASUSTeK GeForce GT640 GT640-2GD3
SSD: Western Digital SSD 500GB WD Blue SN550
PSU: Thermaltake TOUGHPOWER GF1 ARGB 750W 80PLUS GOLD
ケース: Fractal Design Define R5
M/B純正のバックプレートを使用して、スペーサーを挟んでマウンターを付属のネジで固定しますが、これが思った以上に困難でした。事前に調べていたのでマザーボード裏側からバックプレートを紙テープで固定を試みましたが、基盤に触れないようにすると完全な固定とは行かず動いてしまうので難しかったです。また紙の説明書が無いので公式のマニュアルをタブレットで表示しながら取り付けましたが、図解がgif動画になっているのがかえって使いづらかったです。Ryzen 5000シリーズなのでオフセット穴で取り付けましたが固定や圧着に問題は無かったようです。付属の「MX-4」は粘度が低いので塗りやすかったです。私は大きめのプラ版で一気に伸ばし広げました。
ヘッドの裏側にもマウンティングクリップをネジ留めするのですが、このネジのネジ山が小さくてサイズが合うドライバーが見つからず、仕方なく手持ちのドライバーで押しながら締めましたが多少なめました。その上ネジ穴が異常にキツイので最後まで締めるのは大変でした。ヘッドをCPUに固定するのは特に問題もなく出来ました。
ラジエーターの固定ですが、当初はCPUの温度が一番低くなるらしいフロント吸気を考えていましたが、実際にR5に組み込もうとした時に取付が難しそうなのでフロント取付を断念してトップに取付ました。余談ですがこのケースのトップに付いているカバーを外すのはコツが必要です。
トップに装着して冷却性能や静穏性を確認しましたが、トップにはフィルターが装着されていないのでどうしても埃が入ってくる事や、上部が解放されている事によって静穏重視のR5の良さが消されてPC内部の音が漏れるのが嫌で、後日フロント吸気の取付にチャレンジしました。
フロントデフォルトで設置されていた14cmファンを取り外して内側に「ARCTIC Liquid Freezer II 360 Rev.4」付属のP12を取り付けましたが、ラジエーターを浮かせながらファンと一緒に12cmファン用のネジ穴に固定するのは困難でした。三つあるファンの内、最上段のファンはケースに固定する前に装着しておく必要があります。ケースに固定出来るのは中段と下段のファンだけです。
更に冷却性能を上げようとラジエーターのファンサンドイッチにも挑戦。手持ちの「Fractal Design Dynamic X2 GP-12」と元々装着していた「忍者五」付属のサイズ12cmファン×2を取り付けて計6個のファンで稼働する事になりました。通常の簡易水冷より厚い38mmのラジエーターをファンでサンドイッチすると中々の存在感に(笑)
「忍者五」を使用していた時と比較するとフロント付近の変化が一目瞭然。
ラジエーターはファンで吸い出すのが重要と聞いてファンをプッシュ側とプル側で交換しました。
次は、「忍者五」、「ARCTIC Liquid Freezer II 360 Rev.4」トップ取付、フロントラジエーターファンサンド取付を「cinebenchR23」で比較していきたいと思います。
元々は自分用のメモだったのでベンチ時の気温などは違うので考慮して下さい。
┃冷却性能
「忍者五」
Cinebench R23 PPT142W TDC95A EDC140A (定格) 気温25度
マルチスコア 15012 最低35度 最高90度
Cinebench R23 PPT120W TDC75A EDC110A 気温25度
マルチスコア 14256 最低36度 最高78度
Cinebench R23 PPT87W TDC60A EDC90A (ECOモード相当) 気温25度
マルチスコア 13526 最低36度 最高68度
PPT120W制限やECOモードでは80度以下で余裕で収まっていますが、定格では開始数分で90度に張り付きます。
「ARCTIC Liquid Freezer II 360 Rev.4」
トップ プッシュ排気
Cinebench R23 PPT142W TDC95A EDC140A (定格) 気温27度
マルチスコア 15277 最低34度 最高83度
Cinebench R23 PPT120W TDC75A EDC110A 気温27度
マルチスコア 14774 最低34度 最高68度
Cinebench R23 PPT87W TDC60A EDC90A (ECOモード相当) 気温27度
マルチスコア 13830 最低34度 最高59度
気温の差を考えるとどれも10度以上に冷えています。「忍者五」定格ではサーマルスロットが発動して強制的に90度以上になりませんが、この機構が無ければ100度を超えていると思います。それを考えると20度近い冷却性能差がある様に思われます。
フロント プッシュ吸気
Cinebench R23 PPT142W TDC95A EDC140A (定格) 気温25.5度
マルチスコア 15136 最低32度 最高85度
トップ設置では音が漏れたり埃が入るのでフロントに設置しました。スコアや冷却性能はトップ設置より落ちています。
フロント ファンサンドイッチ 付属ファンプッシュ吸気
Cinebench R23 PPT142W TDC95A EDC140A (定格) 気温24度
マルチスコア 15294 最低31度 最高81度
もう少し冷却性能を上げたいので付属のP12をフロントプッシュ側に、「忍者五」付属のファンと、余っていた「Fractal Design Dynamic X2 GP-12」をプル側に付けました。気温差を考慮してトップ設置と比べるとスコアは上がり、冷却性能は1度だけ負けている感じです。
フロント ファンサンドイッチ 付属ファンプル吸気
Cinebench R23 PPT142W TDC95A EDC140A (定格) 気温27度
マルチスコア 15372 最低32度 最高84度
フロント ファンサンドイッチ 付属ファンプル吸気
Cinebench R23 PPT87W TDC60A EDC90A (ECOモード相当) 気温27.7度
マルチスコア 13818 最低35度 最高57度
簡易水冷はプル吸気の方が冷えると知って、ファンの位置を前後に入れ替えてテストしました。温度では一度程フロント設置には負けていますが、スコアは更に上がっています。
フロント ファンサンドイッチ 付属ファンプル吸気 (フロント防音パネル解放)
Cinebench R23 PPT142W TDC95A EDC140A (定格) 気温24度
マルチスコア 15423 最低28度 最高79度
静穏性を重視して「Define R5」を使用していますが、窒息の原因になるフロントの防音パネルを開くと冷却性能はどう変わるかテストしました。開ける前と比較して2度程下がっています。私は静穏性や埃が入らない事を重視するので普段フロントを解放する事はありませんが、解放すれば80度を切ることが分かりました。
┃静穏性
ラジエーターファンノイズについて
「忍者五」はファン全開でもほぼノイズが聞こえませんでした。「ARCTIC Liquid Freezer II 360 Rev.4」も1100RPMくらいまでは非常に静穏ですし、800RPM程度に抑えれば「忍者五」と同等のノイズでより優れた冷却性能を発揮します。
ポンプノイズについて
これに関しては全く聞こえません。
VRMファンノイズについて
普段は気になりませんが、静かな夜間などではサーというファンのノイズより、小さいですがVRMファンのブーンという小型ファン特有のノイズは若干気になりました。フロント設置にすればそれなりにVRMに風が当たるのでこのファンは要らないかなーと思いましたね。
┃総論
爆熱の「Ryzen 7 5800X」を冷却するには「ARCTIC Liquid Freezer II 360 Rev.4」は十分な冷却性能を持っていました。CPUの発熱問題から解放されて満足です。VRMファンノイズついて書きましたが、これは就寝前のPCのみ稼働している様な静かな環境で気付くレベルです。大型空冷か簡易水冷か悩んでいる方には非常におススメ出来ます。
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